書籍紹介(読み物)

日本の弓術
著者:オイゲン・ヘリゲル(柴田次三郎訳)
出版:岩波文庫
ドイツからやって来た哲学者が弓術を通じその(神秘的)精神を学んでいく有名な実話です。 本書はヘリゲルがベルリンで講演を行った時の原文を元に訳されたものです。 その12年後にドイツで「弓道における禅」が発行され、世界でロングセラーとなり、日本でも「弓と禅」のタイトルで翻訳されました。 本書は、通訳を通しておぼつかない修行の日々や想いが主に書かれている感じですが、「弓術における禅(弓と禅)」では、"禅"を中心に据えた哲学的な内容になってるようです。
弓と禅
著者:オイゲン・ヘリゲル(稲富栄次郎訳)
出版:福村出版
数ヶ国で翻訳されロングセラーとなった名著で、弓道人に関係なく読まれている有名な書籍です。 大筋は先に発行された「日本の弓術」と同じくヘルゲル氏が弓道を修得していく過程がメインですが、12年後、哲学者として進歩を遂げ確信を得たことで本書を出版することになったようです。 その為、哲学的な要素が濃く盛り込まれてる感じです。ただ、全体的に直訳的な文章になっているため、分かり辛い箇所が多かったです。
ドイツ語→日本語
無我と無私
著者:オイゲン・ヘリゲル(藤原美子訳)
出版:講談社
「弓と禅」より分かりやすいというコメントがあったので読んでみました。 英語版として翻訳された「弓道における禅(弓と禅)」を日本語化したもののようです。なので基本的に内容は同じです。 読んでみると、言葉も分かりやすいし簡潔な日本語に仕上がってるので読みやすいです。
ちなみに、左記の抜粋は「弓と禅」と同じ部分の内容です。読み比べてもらうと分かるかと思います。 ドイツ語→英語→日本語
霊箭―阿波研造物語
著者:馬見塚 昭久
出版:日本武道館
弓聖と称される阿波研造範士の半生を描いた書籍です。 ヘリゲルの師匠であり、闇夜での的芯への筈打ち(乙矢で甲矢の箆を裂いた)話は有名ですが、人格含め阿波範士の凄さを改めて感じた書です。
本多利実、安沢平次郎、ヘリゲルといった弓道史に残る面々が登場人物として描かれ、まさに戦国武将の歴史小説を読み進めるような興奮を覚えました。また、私にとっては懐かしく大好きな仙台の地が舞台でもあり、青葉に囲まれた情景が浮かぶようでした。
射道芸術の探修
著者:武市義雄
出版:春秋社
冒頭に著者の紹介が寄せられており、軍人、武人、理論家と、いかにも固そうな人物像が並んでいますが、本書の内容も非常に固い。というか深い。
一応最後まで読んではみたものの・・・、対象は称号者に近い高段者でしょうか・・。 幾度となく読み込まないと全体の意は汲めない書かと。
(「無発の発」の意図するところが判った気が・・)
克つための弓道
著者:武市義雄
出版:春秋社
前半は著者の3度の全日本選手権優勝にあたっての経験を綴った自伝で、後半は試行錯誤してたどり着いた射技や心構えについてのポイントが書かれています。 現実味ある内容で興味深く読めました。また、学生時代の選手権での緊張を思い出し懐かしく感じました。 (的が近くなったっり、誰かが体を借りて引いてるような感覚を覚えたり・・)
弓道の魅力
著者:岡村豊太郎
出版:日本武道館
淡々と筆者の経験が綴られてる自伝ですが、弓道の話より筆者の経歴の話のほうが多いような気が・・・。 体育学・心理学の権威ならば、参考程度でもいいので、その方面から弓道を分析した内容を載せて欲しかったものです。
一射絶命
著者:ケネス・クシュナー(櫛田 如堂訳)
出版:ベースボールマガジン社
-アメリカ青年が体験した禅と弓道修行の記録-
禅を数年間修行した後に老師の薦めで弓道を修行。 禅と弓道の橋渡しが目的とあるように、坐禅の身・息・心を弓道の姿勢・呼吸・精神集中に当てはめて解説されていたり、無心(意識的無意識)の境地をうまく説明し弓道の無心の離れに繋げてたり・・、勉強になります。 そもそも禅や弓道の予備知識のない西洋人向けに書かれた書らしいので、禅的な内容がすごく分かりやすく表現されています。お勧めの一冊です。
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